「あなた…は?」


「いきなり自己紹介ですか…はぁ、面倒くさい。
椿【ツバキ】と申します………はぁ。」


何回ため息をつくのだろう

そのメイドさん、いや、椿さんはだるそうにも名前を教えてくれた


「あ…、僕は漣と申します。」


「そうですか、……はぁ。」



そっけなく彼女は答え、会話は途切れる


そういえば、彼女はこの部屋に最初からいたのだろうか…?

扉もないこの部屋に最初からいたのなら、ガラスの破片でケガをしているはずだし、濡れているはずだ


「あの…、もしかして椿さんが僕を助けて下さったんですか?」


「…そうといえばそう、でも自分の身を守るためだったから、そうじゃないといえばそうじゃない。」


「でも、どうやって?」


「はぁ…さっきから質問ばっかり、面倒な人。
私、水は好きにできるんですよ〜。」