「暁さん…。」


『なんだ、うるっせーな。』

「暁さんはもうカギを入手したんですか?」

『してねーよ。
見てわかんねーのか、馬鹿め。』


「…。」


あれから歩き回っているが、試練の場所にたどり着く気配がない


本音をいえば、試練など懲り懲りだが、カギを入手するためには仕方がない


そんなことを考えながら廊下らしきところを歩いていると、何処からか泣き声が聞こえてくる


『…なんだろうな。』


【…―シクシク、グスン―】



『あの扉の向こうからか。』


暁さんは声がする部屋の扉に手をかけ、いっきに開く


「これは…。」



一面ガラスに覆われていて、とても幻想的な部屋だった


不思議なことにガラスの中を人魚が行ったり来たりしている


「泣き声の主は、この人魚殿かのぅ。」



【シクシク―…】