「…なんだろうね。」
問い掛けである兄上の言葉にはそれほど驚きの色は見えなかった
かえって僕の方が驚きを隠せず、狼狽する
「漣、時間みたいだ。」
兄上がにっこり微笑むと、静かになった空間にコツ、コツとこちらに向かってくる靴の音が響く
モノクロ写真のように凍りついた人込みの向こうから、黒づくめの、しかしやけに色彩感をもった男が姿を現した
『やぁ、お二方。
ご機嫌うるわしゅう。』
しゃがれた声で僕らに語りかけてきた男の口元は不気味につり上がっていた
「いつぶりかな、【占い師】さん。
今日は何の用?
もっとも、理由を聞かなくてもわかるけどさ。」
そう兄上はいってちらりと僕を見遣る

