「菖蒲様に話し掛けられてたみたいだね。」
パーティー客に紛れて、食べ物をつまんでいると、ようやく群がる人達から解放された兄上が近づいてきた
「だから?」
無意味なパーティーに出席させられた僕は、素っ気なく返事をする
「菖蒲様も参加者なんだよ。
敵を伺ういい機会だったね。
いつか漣の敵にもなるかもしれないし。」
「参加者…?
敵になる…?」
たまに兄上とは会話が成立しない
兄上は【あちらの世界】について、どうやら僕より詳しく知っているらしいが、僕が【あちらの世界】について聞いてもいつもはぐらかされる
兄上曰く『敵に塩を送る』まねはしたくないらしい
「また兄上は…。」
『教えてくれないんだね。』という言葉を言おうとした途端、周囲の空気が一変する
騒音が瞬時に無音となる
まるでこの状態は、時が止まったかのような―、あるいはこの空間だけ切り取られたような―、そんな妙な静けさが辺りを支配した

