「テニス肘…?」

伊久ちゃんは
不思議そうな顔をしている。
知らないのかもしれない。

「そういう怪我なの。
 打ち方のくせや、やりすぎで
 肘を痛めちゃうの」

見て、と言って
南は長袖のブラウスを
肘が見えるくらいまでめくった。

「…!」

伊久ちゃんが息を呑んだのがわかった。

そこには、南の肘には、
簡単な補強器具がはめられていた。
更にポケットから
チューブ型の薬を出して続ける。

「毎日朝と夜塗ってるの。
 けど、もう、治らないって」