珍しく大地くんが
私の言葉に被せてきた。
しかもちょっと不機嫌。

「だからさ、嬉しいんだよ、マジで。
でもだめ。
俺はこのままテニスを極めて
プロになろうと思ったこともないし
今後そうするつもりもない。
今ちょっと良い気になってるだけの俺が
本気でプロを目指しているような
実力者たちに混ざったって
どうなるかは自分自身でわかるんだ。
だったらテニスは普通に
部活として、趣味として続けて
引退したら真面目に勉強したい」

それにさ、と大地くんは続けた。

「野風がどう考えてるかわかんないけど
俺、野風と同じ学校行きたいし。
直も、長野も、野風と
同じくらい頭良いっしょ?
俺だけ馬鹿だから頑張って勉強して
それで高校でも隣でテニスが出来たら
もう最高」