月の下の砂漠の上で



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『みんなが歌っている【君が代】だけど、現代に訳した意味を知ってる人いる?』

教室を見渡しても誰も上げていない。もちろん私も知らない。

『なんだ、誰もしらないの。現訳するとね―』


あなたのいるこの世界が、

千年も八千年も、

細石が大きな岩になって

それに さらに苔が生えるほどまで、

長く長くずっと続きますように。


『どう?ロマンティックでしょ?いろいろなニュアンスで多少の違いはあるけどだいたいこんな感じ。』

中学3年生の卒業式間近の音楽の授業。
行事のひとつひとつに本当に熱心な音楽教師の二宮先生。

国歌よりも卒業のメインの歌のほうが大事だと私もクラスのみんなも思ってた。

『卒業式の歌は全部 妥協なんかしちゃダメよ』

その言葉通り二宮先生は本当に妥協しなかった。

『国歌なんて昔から歌わされてるし、適当でいいじゃん。熱血すぎなんだよねー』

って言うクラスメイトの影の声なんて二宮先生には届かなかった。




『そういえばさー 二宮先生って歌では美月しか誉めたことないよね、』

菜々美の何気ない言葉を思い返せば本当だ。

いつも『橘さん、歌 上手いわね!!』って誉めてくれた。

『まぁ、確かに。美月のカラオケとかいつも聞き惚れちゃうしね♪』

『いやー照れるなぁwwほら、私 天才だからさ??』

『アンタって本当、バカだよね…』



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思い出せば懐かしい。