「な、な、なん・・・さっきまで・・・・・・」



「『なんでここにいるの?さっきまで下にいたのに』って言ってる?」



コクコクと私は首を縦に大きく振る。



由紀はゆっくりと私との間合いをつめて、散らばったペンやノートを1つずつひろっていく。

廊下から風が吹いて、由紀からはプールの匂いがした。



「ひよりがいた気がして。ホントにいてびっくりしたけど」



立ち尽くす私の手はアイスでベタベタする。

ポタポタと残ったアイスが床にすべり落ちる。



由紀は拾ったものを近くの机に置いて、私をまっすぐに見た。

そして何の前触れもなく、何の躊躇もなく私の手を掴んだ。