私の声で立ち止まってくれた先生を少し追い越して、由紀は自転車を一旦止めた。



「いや、先生、これには深い事情があるんですよ~私、ケガ人だから!」



「・・・元気なケガ人だな」



呆れ顔をしているのは担任の坂口樹先生。

いっき先生っていうのが彼のあだ名だ。



「ってことで、保健室行ってきます!」



「登校日にいきなり保健室かよ。っま、何やったか知らないが、元村、頼んだぞ」



由紀は何も言わずにうなずいただけで、再び自転車を進めた。