逃げ切れる。
その自信があった。

昔から走るのだけは速いんだから。



急に私が走り出したのが想定外だったのか、男は一瞬その場に立ち尽くしてから走り出す。

男はさらに狂気を募らせ、刃物を振りかざす。



これなら振り切れる。

校門まで行けば、誰かいる。



「ひより?」



由紀の姿が見えて、ちょっとだけ気が緩んだ瞬間・・・