私は誰かに聞いて欲しかったんだよね。



私は凌の言葉を思い出した。



《いつでも相談に乗るからな》



でも…そんな事出来ないよ。



そんなのずるいと思うよ。



こんな時だけ凌に頼って…。



でも



私はこの時、凌の事なんかぜんぜん考えていなかったよね。




凌…




ごめんね。





私は無意識のうちに凌に電話していた。




プルルル。プルルル。


4コールぐらいで凌は電話に出た。


「もしもし?ゆか?どうしたんだよ」


久しぶりに人の声を聞いた気がした。


章吾の事があってから私は口数が少なくなっていた。



「あッ。凌…急にごめん…ね」


「大丈夫だよ。つーかゆか大丈夫かよ。なんか声ヤバいよ?」


私はいつのまにか泣いていた。


凌の優しさに感動したんだきっと。


「う…ん。ちょっと…い…ろいろあッて…。」


泣いてたせいか、言葉がよくしゃべれない。



「ゆか…?泣いてるの?……章吾となんかあったぁ?」



章吾……


その名前を聞いただけで私はさっきよりますます悲しくなッた。



この思いを誰かに聞いて欲しいと思った。