「西嶋、コレ、高宮に渡しといてくれ」

「…え?」


わざわざ校内放送で呼ばれたから、何かやらかしたのではないか。と思ってやって来たのに。

渡されたのは、1週間前に行われた期末テスト数枚。

思いもよらぬお呼ばれに私は何も言えず固まっていると、私を呼び出した小山先生が「…あー」と口を開いた。


「高宮、今日風邪で休みで早めに返却しとかないと三者面談に響くから。お前、家隣なんだろ?」

「や、隣ではなくて向かいです」


私の抑揚のない返事に「あーそうだっけか」と適当に相づちを打ち、先生はどこかに行ってしまった。


「至急とか言うから…重要な事だと思ったのに…」


小さな声で呟いて。手の内にある高得点のテストをぐしゃっと握りしめた。