教室の入り口を開けるな否や、入り口から一番遠い窓際の席に座る俺に行き届くくらいの大声で俺の名前を呼びやがる……

他クラスからワザワザ足を運んでまで俺に会いに来やがったアイツは、4組の[梨木めぐみ]という女だ。

只でさえ、クラスで敬遠されがちな俺に、恥じらいも感じさせないくらいに堂々奮然に会いに来るヤツ。

注目度はバッチリだ……


梨木は鼻歌混じりの足取りでツカツカと教室の中に入り、教室中にいる生徒達からの視線を物ともせずに、一直線に俺の席に向かって来る。

俺の眼前までたどり着くと、空席となっている前の席に、俺と向き合うような形で体を椅子に逆らわせて座る。


……この陽気な展開に、物珍しそうな視線を向けて来る周りの生徒共がいやがったが、取りあえず睨んで黙らせる。


その間、梨木はニコニコしていやがった……


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