・・・
あの時……

何もかも投げ出したくて……

全部全部忘れたくて……

身体が勝手に私自身を壊していた。



桜庭:
「うん……大丈夫だよ……腫れはもうとっくに引いてるし、もう触っても痛くないから……」

橘:
「……………」

桜庭:
「でも、やっぱり跡は残っちゃうね……自分の爪がボロボロになるくらい引っ掻いちゃったからさ……」

橘:
「……そうか……」


今の私の顔の左半分は、赤い筋みたいな傷痕がくっきりと残っている。

コレが完全に消えるのには、もう少し時間が掛かるだろう。

もしかしたら、一生跡になって残るかもしれない……


桜庭:
「でも大丈夫だよ……コレはきっと、私の[戒め]みたいな物だからさ……」

橘:
「……………」



そう。

この傷痕は[戒め]……


『心の闇』に負けてしまった、私の罪が形となって残ったもの……


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