柚は、ニッコリと笑っている。


帰る口実を見つけたって、思ってたのに・・・。


「あっ、そうだよ。やってもらったら愛美。こいつね、ファッションの専門学校に行ってるんだよ」


竜二にそう言われ、渋々頷いた。


やっぱり、ボスに逆らってはダメでしょ・・・。


「じゃあ、決まりね♪こっち、こっち」


柚に引っ張られ、店の奥へと連れて行かれる。


「あれ?柚さん、部屋使うんスか?」


「そうよ。だから、高志(たかし)は入って来ないでね」


ずんずんと進んで行く柚を見ながら、竜二の彼女なのかなと思っていた。


そう思うと、なぜか複雑な心境。


私には、まるで関係のない世界なのに。