「絶対、聞こえてたんだよ」



頬を真っ赤にして。
瞳を潤ませて。

泣きそうな顔で、みさきは睫毛を伏せた。


……やれやれ。


ゆっくりと立ち上がって、俯いてしまった彼女のところへと歩み寄る。



「…別にいいじゃん。」



言いながら、その細い肩を引き寄せて。

そのまま、自分の腕の中に閉じ込めた。



「聞きたいなら聞かせてやればいいし。見たけりゃ見せてやればいい。」


「なっ…」


「子供じゃないんだから。

向こうだって、“つき合ってる”男女が部屋で何をするか…なんて言わなくてもわかってるでしょ。」




……そう。

みさきが気にしているのは、昨夜のこと。





あのまま、

流れに任せて身体を重ねた俺たち。


アイツのせいで気持ちが高ぶっていたせいか、
いつも以上に、激しくみさきを求めてしまった俺。


案の定、終わってすぐに爆睡。

その間に、みさきはキッチンに行ったらしく…


そこで、鉢合わせてしまったらしい。


みさきはアイツが帰ってきていることを知らなかったから。

かなり驚いたみたいで…



「…無理。恥ずかしすぎるよぉ。」