ゆっくりと開いた瞼。

まだ完全には目覚めていない。…と言うより、

夢と現実半分半分と言ったところかな。


でも、

その瞳には俺だけしか映っていない。



「ここじゃなくて、部屋で寝よう?」



抱き上げようと、背中に腕を回せば、



「…うん。」



当たり前みたいに、
みさきは抱きついてきて。

ぎゅっと。

俺の首元に顔を埋めて、
そのまま落ち着いてしまった。



「……っ」



後ろにいるアイツが、息を飲んだのがわかった。


そりゃそうだろうな。


普段のみさきからは考えられないだろうから。


子供みたいに無防備に、
誰かに甘えるしぐさ。

こんな姿は、俺にしか見せたことはないんだから。


…あ。みさきが言ってた“甘えてる”ってこういうことなのかな?


ぼんやり考えながらも、
その華奢な身体を抱え上げて。

俺はくるっと振り返った。

そして、



「こういうこと、だから。」


「…え?」


「見ての通り、みさきは俺のなの。だから…」



まっすぐに、その困惑したままの瞳を捉えて、



「欲しがらないでくれるかな?」



思いっきり睨み付けた。