怖い夢、って…
子供じゃないんだから。
ふっ、と思わず笑ってしまった俺とは対照的に、彼女の瞳は真剣なままで。
「汗…びっしょり。」
俺が握っているのとは反対の手を伸ばして、俺の額のあたりに触れた。
「あ…」
言われて気がついた。
俺は、全身ぐっしょりと、嫌な汗に覆われている。
夏の夜とは言え、
この部屋はほどよく冷房が効いているから。
普通だったらありえないことだ。
「大丈夫?気分は…悪くない?」
持っていたタオルで俺の汗を拭いながら、心配そうに問いかけてくる彼女。
「大丈夫…だよ。」
答えながらも、俺は少しだけ動揺していた。
さっきの夢…
あれは、“夢”と言うよりも“記憶”で。
はっきりと覚えてはいるけれど、決して思い出したくはないもの。
俺にとっては、
忌々しい過去の一片、だ。
ずっと忘れていたのに…
思い出さないようにしてたのに…
なんで、今になって…
「あんまり無理はしないでね?」

