迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*





怖い夢、って…

子供じゃないんだから。

ふっ、と思わず笑ってしまった俺とは対照的に、彼女の瞳は真剣なままで。



「汗…びっしょり。」



俺が握っているのとは反対の手を伸ばして、俺の額のあたりに触れた。



「あ…」



言われて気がついた。

俺は、全身ぐっしょりと、嫌な汗に覆われている。


夏の夜とは言え、
この部屋はほどよく冷房が効いているから。

普通だったらありえないことだ。



「大丈夫?気分は…悪くない?」



持っていたタオルで俺の汗を拭いながら、心配そうに問いかけてくる彼女。



「大丈夫…だよ。」



答えながらも、俺は少しだけ動揺していた。



さっきの夢…

あれは、“夢”と言うよりも“記憶”で。

はっきりと覚えてはいるけれど、決して思い出したくはないもの。


俺にとっては、
忌々しい過去の一片、だ。


ずっと忘れていたのに…

思い出さないようにしてたのに…


なんで、今になって…



「あんまり無理はしないでね?」