迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*





……ずっと、苦しかった。




生まれた瞬間に、
“成海”の家を継ぐことが決まってしまった俺。


あとはもう、あの人の思うがまま。


大事に育てられた、とは思う。

特別扱い。
明らかな優遇。

愛情もお金も注ぎこまれた。




だけど、


それと一緒に…いや、
それ以上に重くのしかかる“期待”。


“成海”の家を継ぐべき存在として。

あの人の決めた“こうあるべき”人物にならなきゃいけない。


レールはすべて決められていた。

選択肢なんてなかった。


両親も、口出しできなかった。

誰にも止められなかった。


流されるしかなかった。




でも……


疑いもなく、素直に従っていられるのは幼いうちだけ。

当たり前だけど、
成長するにつれて“自分”ってものがわかってくる。


自分の置かれた状況も、

自分の限界も、

自分を待ち受ける未来も。



わかってしまったら、
もう“操り人形”じゃいられない。