「……あ。」



そこまで言って、ハッとしたように俺のほうを見る彼女。


俺は、慌てて視線を反らした。



「“くっついてきて”何?」



そんな中、またしても意地悪な航の声。



「……なんでもない。」



小さく呟く彼女に、



「えー?気になるから、ちゃんと最後まで言ってよ」



わざとらしく、からかうように促す航。


仲のいいカップルがじゃれ合っている。


傍目に見れば、そういう光景。


たぶん彼女も。

俺に聞かれることを恥ずかしがってはいるけど、気づいてはいない。



「あー、そっか。あのときのこと?

だってあれは、みさきがいけないんじゃん。」



「……なっ。なんで私?」



「可愛い顔して、あんなこと言うから…つい我慢できなくなって、ここで……」



「ちょっ…航くんっ!」





……これは“威嚇”だ。



航の…航なりの、


大事なものの“守り方”なんだ―――