「焦った、ってことは、何らかの“心当たり”があるからですもんね?」
……え?
さっきまでの母さんはどこに…?
すっかりいつもの調子に戻ったかと思えば…
「気をつけなさい、って言ったわよね?」
さっきとは違った意味で“怖い”顔で、俺の瞳を覗き込んできた。
「母さん、ちゃんと忠告したでしょ?みさきちゃんとおつき合いを始めたとき…」
「…へっ?」
「そういうことに反対はしないけど、ちゃんと節度は守りなさい、って。」
…あ。もしかして…
「子供に子供は育てられないの。きちんと社会に出て、自分たちで養っていけるようになってからじゃないとダメ。」
「それは…」
「これはもう、1から教育し直さないとね。
…あ、ちょうどいいわ。すぐそこに産婦人科があるからあそこで…「いいです!これからちゃんと気をつけますっ。」
……この人なら、やりかねない。
引きずられそうになったところを全力で拒否して。
母さんの手から逃れた。
遊んでいる暇はない。
俺は、行かなくちゃいけないから。
「みさきは…どこ?」
1番大事な人のところに――

