「え…?」
母さんを見れば、まっすぐに真剣な瞳で俺を捉えていて。
誤魔化しはききそうにない。
「俺…は…」
「これまでのことを帳消しにして、もう一度やり直すつもりだった?」
「……っ」
正直、そこまでは考えていなかった。
ただ、みさきが無事なのかどうか気になって。
“子供”のことが気になって…
会いたくて。
確かめたくて…
「…そんな顔するなら、離れるんじゃないわよ。」
バチッと。
母さんの両手が、俺の頬を叩いた。
「な…何する…」
「大事なものは、ちゃんと守りなさい。離れちゃダメ。手放しちゃ…ダメなのよ。」
「え…?」
母さんを見れば、笑顔…なんだけど、どこか哀しげな表情で。
なんだか今にも泣きそうな…
「傍にいないと、守れないのよ。」
「母さん…?」
「傍にいないと、何かあったときに助けてあげられないの」
母さんが、何を思って言っているのかはわからない。
でも、なんとなく…
なんとなくだけど、
俺はアイツのことを思い浮かべていた――
「…それはそうと、
“身に覚えがある”のはよくないわよねぇ。」

