「何してるの?」
だだっ広い“総合病院”。
……どっちだ?
着いたはいいけど、どこに行けばいいのかわからない。
とりあえず、直感で足を踏み出した…とき。
後ろから聞こえた声。
振り返れば…
「母さん!」
ナース姿の母さんがいた。
「あんた、学校は?」
ちょうどよかった。
駆け寄った俺を見て、眉をひそめる母さん。
「あ…これは…」
ヤバイ。この時間に制服でうろうろしてたら…さすがに怒られるだろう。
でも、今はそれどころじゃない。
「みさきはっ?」
母さんは知っているのかいないのか。
みさきが運ばれた科も、母さんが働く科も…イマイチわからないから、
判断のしようがない。
「え?みさきちゃん?」
「救急車で運ばれたって聞いて…俺…」
「ああ。だから、来たの?」
慌てる俺とは対照的に、妙に落ち着いた様子の母さん。
でも、知ってるみたいだ。
「みさきは無事なの?」
「え…?」
「こ…“子供”は?」
……そう。
心配なのは、みさきだけじゃない。
「みさきのお腹の…俺の……」
“新しい命”――
「……あんた、何言ってるの?」

