「何かあったんでしょ?」



なおも、私を見つめるまどかの瞳。

まっすぐに。

まるですべてを見透かしているみたいに…



「ねぇ、みーち「ごめん、まどか」



これ以上は無理。


私は、まどかから目をそらして立ち上がった。



「私、明日からバイトだから…今日はもう、1人にしてくれるかな?」


「え…?」


「ほら、まどかも。
もう1回、自分で復習してみたほうがいいと思うし」



言いながら、
なるべくそっと。

まどかの背中をドアのほうへと押しやる。



「え?バイト?みーちゃんが?何の?」


「そう。大学の図書館。」


「え…」


「朝早いから…またね?
おやすみ。」



パタン、と。

ドアを閉めて、そのままそこに寄りかかった。



はぁっ…



まどかが心配してくれているのはわかる。


あの子はやさしいから。


私が家にいることを喜びながらも、

時々、哀しげな…同情的な瞳で私を見ていることには気づいていた。


でも…


その話だけは、できない。