迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*





「……今から?」




――それから数日後。


1人、家でくつろぐ中、
ケイタイがけたたましく鳴り響いた。


出てみれば…



――「そうなの!いますぐ必要なのよ。」



聞き慣れた騒がしい声で。

切羽詰まった様子で、一気にまくしたてられた。



――「悪いけど、持ってきてくれない?」



……珍しいこともあるもんだ。


家ではぐだぐだだけど、仕事は完璧なのに…



――「2時から使うから、それまでに来てくれる?」



どうやら、会議だか研修だか…で使う大事な資料を家に置き忘れたらしい。


看護師の母さんは、年齢的にも上のほうの立場にいるらしく。

通常の仕事+αでいろんな業務をこなしている…らしい。


だから、すごく忙しいし不規則だ。


それが全部、息子の俺を育てるためだってわかってるから…



「わかった。すぐ行く。」



どんなに理不尽だろうが、俺はあの人には逆らえない。