ビターな彼に夢中[短編]

『お兄ちゃんもしんどいの?』


私の質問にお兄ちゃんは優しく笑った。


『辞めれるなら辞めてるくらい、しんどいよ。
まぁやりがいもあるんだけど。』


私がお兄ちゃんを見ていると
お兄ちゃんはさらに付け足した。


『俺が智先輩の立場だったら、
今年主任になったばっかで仕事だけで手一杯なのに、
わざわざ彼女は作らないかな。
…なんで智先輩はお前と付き合ったんだろ~な?』


『え…?』


『智先輩、最近会社でもすげぇ元気ないよ。
ミス多いみたいで残業増えてるし』


そんな…


お兄ちゃんはにやっと笑った。


『そういえば、
明日、智先輩休みだよ』


それだけ言うと
お兄ちゃんは立ち上がって私に背を向けた。


お兄ちゃんは部屋からでる直前
振り返って教えてくれた。


『智先輩、全然大人じゃないよ。
あの人会社でいっつも何飲んでるか当ててみ?』

え…?


『…ぶ…ブラックコーヒー?』


お兄ちゃんは笑った。



『正解は、いちごオーレ。』