ビターな彼に夢中[短編]

私が話終わると
お兄ちゃんは腕組みをして首をかしげた。


『ん~…智先輩はお前のこと
ちゃんと好きだったよ?』

そうなのかな…

『…でも全然会ってくれなくて…』

お兄ちゃんは小さくため息をついた。


『まぁ…お前からしたらそうかもだけど。
智先輩マジでめっちゃ忙しいよ?今年主任になったとこだし…
若くで主任になった分、板挟みがすげぇみたいでさ。』


そうなんだ…

私はお兄ちゃんをみた。


『部下の俺でもこんな時間まで残業だしさ。
智先輩はいっつももっと遅いよ

うちの会社、休日出勤とかも当たり前だし』


そこまで…

『私…全然聞いてなかった…』


『んなの…10歳近く離れた年下の彼女にカッコ悪い愚痴できる人かよ』

……


お兄ちゃんは真剣な顔で教えてくれた。


『働くってのは、まじで大変なんだよ。
毎日プレッシャーと戦ってさ。
金を稼ぐってのは綺麗ごとじゃねんだよ』


知らなかった…


だってパパもお兄ちゃんも
みんな当たり前に働いてるんだもん…