ビターな彼に夢中[短編]

そのまま無言で駐車場へ向かった。


家に向かう途中
私は助手席で声を殺して泣いた。


わかんない…

好きなだけなのに…

やっと会えたとこなのに…

智也くんの気持ち
わかんないよ…



家の近くのいつもの角に来て
智也くんは車を停めた。


『…泣いてんの?』


今頃気付いたんだ…


『もぅ疲れた…』

たまった気持ちが溢れてきた。


『…は?』


『いっつも…全然会えないしっ』


…もっと会いたいょ…

毎日毎日寂しかったんだょ…


『会っても…私ばっか好きみたいだし…』


俺も好きって言って欲しい…

違うよって言って欲しい…


『…っ…ひっく』


智也くんは無言だった


『もう…しんどい…』

好きだよ…

でも…

『もぉ…別れたぃ…』


私は言ってしまった。