ビターな彼に夢中[短編]

お兄ちゃんは家に携帯で連絡をした。


家に帰るとお母さんが熱いお風呂を用意してくれていた。


詳しい事情は多分知らないだろうけど、心配してくれていて抱き締めてくれた。


――…

夕飯を食べた後
自分の部屋にいるとお兄ちゃんがドアをノックした。


『入っていい?』


『…ん、良いよぉ』


…きっと昼間のことだ。

あの声をリアルに思い出して気分が悪くなった。

また苦しくなる…。



お兄ちゃんが入ってきた。

お兄ちゃんは近寄らず
ドアにもたれて立った。


私はベッドに腰かけたまま、
お兄ちゃんを見た。



『…今日はビックリさせてごめんな。』


お兄ちゃんがうつむき加減で言う。


『…お友達じゃなかったの?』


『お友達だよ。』



お兄ちゃんは静かに答えた。



…なにそれ?

わかんない…

わかんないよ…