ビターな彼に夢中[短編]

寒すぎてベンチの上でうずくまっていると背中に手が触れた。


顔をあげるとお兄ちゃんがいた。


『探したよ…ごめんな。帰ろ』


お兄ちゃんは私の手をとった。


私はお兄ちゃんに手をひかれ
後ろをトボトボ歩いた。


体が冷えすぎて
足がうまく動かない。


公園の出口で
お兄ちゃんは自販機で暖かい紅茶を買ってくれた。


手の体温で紅茶はすぐにぬるくなった。


『寒かったな。大丈夫か?』


お兄ちゃんは私の背中を擦ろうとして手を止めた。


『…兄ちゃんに触られんの嫌か?』


私はお兄ちゃんを見た。


お兄ちゃんは悲しい目をしてた。


『嫌じゃないょ…』


また目から涙が溢れた。

どんなお兄ちゃんでも
好きなの…


私はお兄ちゃんにしがみついた。


お兄ちゃんは私を暖めるように
抱き締めて背中をさすってくれた。