ビターな彼に夢中[短編]

兄離れしろよな…


私はお兄ちゃんに向かって
イーってした。


『…やだよーだ』


本当はすごく傷付いた…
でも、傷付いてないフリした。


お兄ちゃんは
しょうがないなぁ…みたいな顔をしてる。


『お前もそろそろ彼氏とか出来ないの?』


また傷付く。


『出来ないょ』

『良い奴もいねーの?』

『……』


私はうまく笑えなくなって俯いてしまった。


…悲しいょ


私は上目遣いでお兄ちゃんを見た。


お兄ちゃんと目があった。


『…好きな人はいるょ』


…お兄ちゃんが好きです

お兄ちゃんと目が合ったまま

一瞬の沈黙




お兄ちゃんはまた静かにお箸を動かし出した。


『んじゃ今度連れてこいよ。
兄ちゃんが協力してやるよ』


お兄ちゃんはにやりと笑った。




いらないよ。

そんな事いわないで…


『ん…ありがとぉ』


私は無理やり笑ってそれだけ
答えた。