「スーパーモデルと呼ばれる方は、頑張らなくても男の人が寄ってくるから羨ましい限りです。」


「なっ―――。」


「社長が優しい方でよかったですね。奥様が育児より仕事優先でも許す人で……ですが、夫より妻の方が稼ぎがいい夫婦って永続きしないみたいですよ?」





突然の事で反論するにも言葉が出なくて、その秘書は言いたい放題でカツカツとヒールを鳴らし行ってしまった。





どうしてあんな事言われなきゃならないの?





「アキさん?」





ただ呆然と後ろ姿を見ていた私の顔を覗き込み、声をかける森ちゃんにハッとする。





「ボーッとしてた。行こうか。」


「はい………。」





秘書に背を向け、今度こそスタジオへ足を動かす。





「あの………、アキさん…。」





声色からして、森ちゃんが何を言いたいのかわかってしまった。





「誰にも秘密ね。」