「お姉ちゃん………私、朔夜さん呼んで来るっ。」





声が出なくて何度も頷く私に、泣きそうな表情を見せ今来た道を走って戻って行く雪菜。





「鈴に触らないで!」





叫ぶ紗衣の声にハッとし、子供たちを助けなきゃとドアに手をかけた時には遅かった。





踞り泣き叫ぶ鈴。





鈴を守ろうと前に立つ紗衣の体がゆっくりと横に倒れて行く。





「紗衣っ!」





紗衣が倒れたのは一瞬だったのに、私にはゆっくりに見えて目に焼き付いている。





「あっ……海堂さん………。」





真子先生が小さく呟いたが、今は問い詰める前に子供たちを抱き締めるのが先。





「鈴っ、ママだよ………もう泣かなくていいよ……。」


「ママーっ、あ゙ーっ。」





私に気付いた鈴が顔を上げ、必死に伸ばす両手を掴み抱き上げる。




今だ泣きじゃくる鈴を抱っこしたまま、紗衣のところに向かう。