夕日は私を待ってはくれない。


グリーンフラッシュの時間が迫る。


その瞬間にキスをしなければいけない。


もし出来なければ次の瞬間には拓也の記憶から私は…消える。


「頑張れソフィア、貴方ならやれるゎ」


左手で頬を叩いて気合を入れる。


海面から顔を出し拓也が来ていないか確認する。


すると砂浜を崖に向かって歩く人影が見えた。


それは拓也だった。


名前を呼びたい衝動に駆られたが、まだ少し離れているし、波の音に私の声が消えて気付いてもらえなかったら悲しくなるので止めた。