進むにつれてシルエットは、はっきりとした街になってきた。 街に入るが、マーメイドもマーマンも居ない。 街全体が暗く…一言で言うなら“死んでいる”だ。 そのことが私を喜ばせる。 噂によると北の街は魔女によって支配されてしまったらしい。 そして目の前の光景は魔女の存在を物語っていた。 「何処に居るのかしら…」 「私を探しているのかい?」 「ひっ!!?」 急に背後から女のしわがれた声がした。 さっきまで誰も居なかったのに…。 恐る恐る後ろを振り返る。