北へ進むにつれて海は冷たさを増す。 私が暮らすのは南の海。 だから私は冷たい海は苦手である。 ウロコの無い肩に冷たい海が突き刺さる。 素肌に感じる冷たさは痛みに変わる。 痛みに耐え、更に北へ…冷たい。 痛みに耐え、更に更に北へ…痛い。 体の感覚が無くなってきた。 でも北の海へ行く事に後悔なんてしていない。 私は足を手に入れて拓也の前に立つ。