俺は歌声を辿って歩き続けた。 残念ながら声の主を探し出す事は出来なかった。 が、その声がよく聞こえる場所を見つけた。 相変わらず姿は見当たらないが歌声だけは聞こえる。 低いが全体的に海に突き出た崖がその場所だった。 崖の上からは俺のお気に入りの岩場が小さく見える。 あんなに離れていたのに歌声は耳元で歌っていたかのように、はっきりと聞こえた。 透き通った歌声はどこまでも響き渡るのだろうか。