でも今日は珍しく先着が居るようだ。 姿は見えないが、どこからか歌声が聞こえる。 心を優しく撫でる様な透き通った女性の声。 聴いたことの無い歌だった。 俺は囁く様な歌声に誘われ、お気に入りの岩場を離れた。 耳を澄ませ、聴こえる歌声を頼りに声の主を探した。 途中、耳を澄ますのに集中しすぎて波を避けきれず、ビーチサンダルを濡らしてしまった。 でもそんな事はどうでもいい。