俺はいつもより早く学校にやって来た。

目的はただ一つ。


"堺 凪良"


一週間前、突然現れた不思議な男。

それも、西脇に興味を持っている。

何かを知っている。

俺と西脇に、大きな影響を与える。

そんな男。


堺が行きそうな場所に
片っ端から行ってみた。

図書室や校舎の裏、そして屋上。

そこでやっと、堺の姿を見つけた。

貯水タンクにちょこんと座ってて
何か難しそうな顔をしていた。

噂で聞いた、"可愛らしい堺くん"ではなく
"凛々しい堺くん"だった。

『堺…くんだよね?』

俺を見たとき、俺を前から
知っているような目だった。

そして、手を握ったとき、
とてつもない恐怖感が俺を襲った。

突然目の前が真っ白になって…

俺は思わず目を瞑った。




しばらくして目をゆっくり開けた。

『圭!!!!!!!!!』

突然俺を呼ぶ声。

『ごめん、ごめん!!』

もう一人の声。

俺はその声の主を見て、驚いた。

!!!!!!!!? お…れ??

それはまさしく、まぎれもなく、
栗田圭。 

俺だった。

今の俺より、かなり背が伸びてて
声も低くなってて…

けど、今からそんなに月日は
経っていない俺だ。

だいたい1、2年先くらいだろう。