「選択肢の②に丸付けてね」

はい、と渡されたボールペン。

「…迷ってないで、早く丸付けて」

とろいなぁ、もう…と急かす凪良。

「はいはい、わかったから!!」

別にどうなろうといいやと、
あたしは②に勢いよく丸を付けた。

「…あと、ここにサイン書いてね」

西脇…茜っと!!

「はい、どうもありがとう」

規約書を、またふところに戻す凪良。

「それじゃぁ僕はもう一回、
 2210年に戻るよ。
 規約の申請届けなきゃいけないし」

あたしより、若そうなくせに
社会人が使うような言葉を喋る。

…なんかムカつく。

「あ、それと…言い忘れてたけど
 さっき、泣いてたでしょ、君?」

何気に、上から目線の物言いも
気に入らない。

「それが何??」

「泣く必要なんて、ないのに。
 だって、栗田圭も時和多受かるんだよ?」

「……え!!!!?
 そうなの!!!!!!!????」

「うん。ちなみに、君も受かるよ」


そう言って、また強い風が吹いた。

それは、凪良が未来へ
帰って行った合い図だ。