―――――――次の日の放課後


あたしは職員室の前で止まっていた。

調査票を出しに来る生徒たちが
あたしの横をすり抜けて行く。

何で迷っている?

もう決めたんだから…


「失礼します」

あたしは勢い良く、扉を開く。

「おお、西脇、やっと来たか」

先生がコーヒーを飲みながら
回転椅子を回す。

「遅くなってすみません…」

「で、どこにするつもりだ?」

「……時和多…です」

あたしは調査票を出した。

「知ってると思うが、難関だぞ」

「わかってます」

「うむ…まぁ西脇の成績なら 
 心配ないだろう。
 頑張れよ」

「はい」


あたしは猛スピードで学校を後にする。

走らないと、涙が出そうになる。

もう、未練はない。

栗田くんと離れてしまっても、後悔はない。

あたしは自分にそう言い聞かせて走る。


気付けば、プラタナスの並木に辿り着いた。

繁華街から静かな住宅地へと続く道。

寂しい時や、悲しい時に、よくここへ来る。

「やっぱり…悲しいよぉ」

あたしは我慢していた涙を溢す。

「ぅ……っっ……」

泣き崩れる。

自ら選んだ道だもん。

しょうが無いよ……


その時だった…