10分くらい歩くと、あたしの住んでいるマンションが見えてきた。 「あのマンション?」 「うん」 無言で歩いてきたのに、気まずさがないのが不思議だった。 「天宮くん、ありがとう」 「別に。じゃあな」 「うん、また明日」 天宮くんの後ろ姿に、あたしは小さく手を振ってみた。