「…帰ろ」 1人で小さく呟き、あたしは教室を出た。 昇降口でローファーに履き替えていると、雨音が聞こえてきた。 やば、今日は傘持ってないよ…。 とりあえず、あたしは外に出てみた。 冷たい春の雨が、あたしの制服を濡らしていく。 「入れば?」 突然、背後から聞こえた声。 振り返ると、天宮くんが傘を広げていた。 「え…、いいの?」 「別に」