「…………」


「輝もきっとさ…「簡単なこと言わないでっ!!」



気づいたら叫ぶように、声を出していた


簡単に言わないで欲しい!


「蒼依くんにはわかんないよっ!親に見捨てられて、あたしにはお兄ちゃんしかいなかったのっ!!」


あんな父親しかいない家で、毎日息が詰まるくらい苦しかった



「なのにっ!それなのに!お兄ちゃんにまで見捨てられてっ!捨てられてっ!!」



必要無いって……



あたしはいらないって、言われてるみたいだった……



「あたしはっ…――グイッ



肩を掴まれ、そのまま蒼依くんの胸に引き寄せられた


「……わかんねぇよ。」


「……」


呟くような声



「確かに俺は、綾香の親でもないし、お兄ちゃんでもないから、そんなことわかんねぇよ!!」



「っ!だっ…「でも!誰よりも綾香のことをわかってやりたいって思う!」



………え



「綾香のこと、誰よりもわかりたいと思うんだ……」


切ないような声に、胸が締め付けられる


「今はお兄ちゃんの代わりでいい。でも、俺がいつか、綾香のこと、誰よりも守れるようになるから……」


何よ、それ……



「綾香のこと、誰よりもわかってあげれるようになるから……」


何よ………



「俺のそばにいろ。俺しか見えないくらいに」



「っ……」



何て自己中な発言……


一番嫌いな性格なのに……



なのに……