体の力が抜けたように、ヘナヘナと壁にもたれ掛かったまま座り込んだあたし
「おいっ!待てっ!!」
一瞬の隙をみて、男は逃げ出した
「ちっ!」
それを追いかけようとする彰ちゃん
やっ……
「ヤダッ!!」
とっさに彰ちゃんの制服を掴んでいた
「ヤダッ……」
1人に…しないで……
「花梨……」
優しい声が聞こえた同時に、温かい体温に包まれた
「ごめんっ……」
「な、なんで…彰ちゃんが謝るのよっ……」
「俺がもう少し早く花梨を助けてれば……」
「大丈夫…だよっ……。あたしなら大丈……っ」
大丈夫だよ…と
平気だよ…と言いたいのに、涙が溢れて声が出ない
「っ……花梨。花梨…」
強く…でもどこか優しいあたしを抱きしめる体温



