ホッと胸を撫で下ろす


「もしもし。あぁ、綾香か。」


電話の相手は綾香ちゃんみたいだ。



「は!?今から!?」



何の会話をしてるのかは、はっきりわからないけど、揉めているのはわかる


「あぁ―…わかった。今から行く。」


ついに輝が折れたのか、電話を切った



「綾香ちゃん、どうかしたの?」


電話の内容が気になってしまう



「あぁ、何か今すぐ会いたいとか言われてさ……」


困ったような表情をする輝


「最近、家にも来ないし、親父とうまくいってんのかと思ってたけど、そうじゃなかったみたいだし……」


「お父さん?」


「あっ、そういえば、花梨には話してなかったな。綾香は離婚した父親に引き取られたんだけどさ……仲が悪くて……」


「仲が悪い?」



「親父の女癖が悪くて。綾香はほったらかし。そのせいなのか、綾香はブラコンになっちゃって、俺ん家に入り浸りだったんだよ。」



そっ…か……


そんな大変な家庭環境に輝と綾香ちゃんは居たんだ……



「じゃあ、帰るぞ。」


「えっ!?綾香ちゃんのところに行くんじゃないの?」


今すぐ会いたいってことは、何かあったのかもしれないし……