「あぁ。さっき聞いてさ……。つ―か、成田なんか悲しそうだったぞ」
「…え」
「友達だろ?もう少しさ……」
俺なりに気を利かしたつもりだった
「成田もさ、なんか悩んでたみたいだし……。だから…「うるさいっ!」
………えっ?
俺の言葉を遮った花梨の鋭い声
「……か、花梨?」
いつもの花梨からは信じられないような叫ぶような、でもどこか悲しそうな声
ギュッと握っている手は少し震えていて……
花梨が何を思っているのか、全く分からなかった……
「花梨……」
そう呼ぶと、ハッとしたように口元を押さえた
俺を見る瞳は少し揺らいでいて、動揺しているのがわかる。
「花梨……?」
もう一度花梨の名前を呼んだ
「あっ、ごめん。…なんでも無いの……」
それだけ言って、ドアに歩き出した花梨
「ちょっ、待て!」
このまま帰すわけにいかねぇだろ!?
「花梨…どうしたんだよ?様子おかしいぞ?」
明らかにいつもと様子が違う
「大丈夫……」
「なにが大丈夫なんだよ…」
「だから、本当にだい……ん゙っ!」
何も言ってくれない花梨に苛立ち、唇を塞いだ
「ふ…やっ……」
なんで頼ってくれねぇんだよ……
俺、花梨の彼氏だよな…?
「やめっ……ん゙んっ!?」
苛立ちと悲しさから、ただ花梨を求めた
「やっ…だっ……」
初めて触れた舌に、酔いそうになる。
嫌がってる声も、今の俺には誘惑の声としてしか聞き取れなかった…



