「……ごめんな。」



ずっとそれで苦しんでたんだよな?


「綾香は…「バカにしないでっ!」



……へ?


もう一番頬に触れようとした手を、おもいっきり叩かれた



「あ、あたしは!あんたの一番になりたいのっ!そんな…そんな風に他の女の子を思ってるなんて…イヤだよぉ―…」



……こいつマジで花梨?



逆ギレしたかと思えば、すがるように俺の制服の裾を握って、ポタポタと涙が落とす



「あの…花梨……?」



「なによっ!」



キリッと睨むような瞳



あぁ、やっぱり花梨でした……




「綾香は俺の妹なんだけど……」


「………」



「か、花梨……?」



うるうるした瞳が俺を見つめたまま止まった



「…輝って、相当あたしのことバカにしてる?」



はいっ!?



「名字が違うでしょ!それに性格だって優しくて可憐だし!」


つまり俺と全然違うって言いたいわけ…?



「俺さっき母子家庭って言ったよな」


「うん。……って、もしかして…」



ハッとしたような表情で俺を見る



「そう。綾香は父親側に引き取られたから父親の姓で橘なわけ。」



「じゃあ彼女じゃないの?」


「あぁ、違う。」



「そっ、そっかぁ―…」


はぁ―…と肩の力が抜けたような花梨



「で、なんでお前が綾香の名字知ってんだ?」



「あっ、それは……」



そう言ってバッグを開け、中から見覚えのあるタオルを取り出した