――カチカチ
静かな部屋に、時計の定期的な秒針の音が聞こえる…
「花梨……」
そっと体を離し、頬に手を置いて唇を近づけた―…瞬間
「ちょっと待ってっ!!」
唇を隠すように、手で覆った
……は?
「なんで拒否すんだよ。」
さりげなく傷つくよ?
「だっ…だって…あたしやっぱり彼氏じゃない人とはこんなこと……」
彼氏じゃない人とは……?
「何言ってんの?さっき好きだって言ったろ?」
「で、でも…だからって恋人ってわけじゃ……」
何が言いたいわけ…?
「俺はもう花梨のこと彼女だって思ってんだけど。」
「えっ///」
少し赤く染まる頬を見て、なんか嬉しくなった
「だから、花梨は俺の彼女。」
つ―か花梨しか彼女にする気、サラサラないから。
「……橘さんは?」
……たちばな?
……橘って……あぁっ!
「なんで花梨が綾香の名字知ってるわけ?」
噂で流れたのは“綾香”って言う名前だけだったよな?
「…っ。やっぱり橘さんが輝の一番なんだよね……」
あぁ―…俺、まだ誤解、解いてなかった?



