――グイッ
「きゃっ……」
花梨の腕を引き、そのまま抱きしめた
「ズルいのはどっちだよ。」
「……え」
「俺なんて、花音の仕草一つだけで、胸が締め付けられる」
花梨が他の男に笑いかけるだけで、ムカッとくるし…
花梨が嬉しそうに笑うだけで、俺まで嬉しくなってしまう…
そんなこと、花梨にしか出来ねぇよ?
「それくらい花梨にハマってんの…。分かれよ……」
ギュッと抱きしめる力を強める
「でも…「まだ何かあるの?俺は花梨が好きだ。…花梨の気持ちは?」
俺が知りたいのは花梨の気持ちだけ……
「好き…。輝が好き……」
抱きしめたまま聞こえた声
「ん…。俺も好き。」
隙間なんて無くなるように、ただ抱きしめた。
今が夢じゃないって、確かめるように……
ただ…抱きしめた……



